ヒーローに会いたい!

港町レンドア。

様々な大陸、文化が交わる港町というのは必然的に数多くの人が集い、発展していく。

 

人が集うということは情報も集まる。

一攫千金の仕事の話、伝説の宝の話、異国の地にあらわれた怪物の話…etc.

例を挙げればキリがない。

 

そんな噂が集まる場所にはお金を求め、栄誉を求める冒険者たちも数多く集う。

レンドアの一角にはそんな冒険者達が集う酒場があった。

名前はまだない。

 

その中には全国各地からの依頼事をとりまとめ、冒険者達に仕事を斡旋する冒険者ギルドの本部も併設されていた。

 

もっとも、依頼書がよく紛失されるくらいに管理体制がずさんな信用性の低いギルドではあるが…

 

そんな中、あさげは一枚の依頼書に目がいった。

依頼主のことが非常に気になったのである…

怪傑ウルフという依頼主。

どうやら「正義のヒーロー」であるらしい。

正義のヒーローというところに非常に興味をひかれたのだ。

怪傑ウルフとはいったいどんな人物なのか。

あさげの記憶を掘り起こしてみてもそれらしき人物は思い浮かばない。

(我はまだ見聞が足りぬからのう…)

そう思ってはみても、世界中で活躍をしているようなヒーローであれば【アーネスト・サン・ジェルマン】の記憶の残滓に残っていてもおかしくはない。

まったく未知の存在なのだ。

それゆえに、気になって仕方がない。

 

決めたぞ!

我は「怪傑ウルフ」を探すのじゃ!!

正義のヒーローがどんな人間なのかこの目で確かめるのじゃ。

こういうことは庶民の噂になりやすい、さっそく聞き込みをはじめるとするかのう。


ジュレットにて

手始めに5大陸の町や村を巡り、ヒマそうな人達に聞き込みをしていくあさげ。

ジュレットの町を訪れた際、有力な情報をつかむ。

 

日がなジュレットの大きな階段で日向ぼっこをするのが趣味と言うこのウェディ族の老人が言うに、それらしき者がキュララナ海岸にいるという噂を聞いたことがあるという。

「これは朗報じゃ!」

まだ聞き込みをはじめて日が浅いにも関わらず、このような情報を掴めるとは幸先がよいと心の中で小躍りし、あさげはキュララナ海岸へと馬を走らせた。

BGM:遥かなる旅路 famisynth2使用

※一部パートの音色作りを間違えています。

ジュレットからキュララナ海岸へ向かうのは何も大変な事ではない。

道も整備されている上、随所に案内札も立っており、周辺に出現する魔物は大して危険な部類ではない。

 

もっとも少し離れたエリア、謎の石柱群が乱立する方面へ足を踏み入れれば並の冒険者では返り討ちにあってしまうようなモンスターや凶悪な生物が生息しているため、道を外れないことが重要ではあるのだが。

 

少し腕に自信のある者ならば絶景スポットのひとつではあるので立ち寄ってみるとよい旨が冒険者向けのアストルティア観光ガイドには記載されている。

 

ウルフ違いと次なる噂

「ふむ…いったいどんな人物なのじゃろうか…そもそも、見つかるかのう…?」

キュララナ海岸へと到着したあさげの目に入るものは輝くばかりの白い砂浜と青い海、そしてキュララナ名物のタコメットにサマーウルフだ。

 

「サマーウルフ…サマーウルフ…これは違うのではなかろうか。

いや、怪傑ウルフじゃしな、人間であるとは書いておらぬ。

そうじゃ、この種族であるからこそ、怪傑ウルフなどと名乗っておる可能性が高いのじゃ!

もし、そこの!!」

サマーウルフ「海岸をこれ以上荒らさせはしないぜ!」
サマーウルフ「海岸をこれ以上荒らさせはしないぜ!」

あさげが声をかけるなり、サマーウルフは斬りかかってきた。

「突然危ないではないか!

いったいどうしたのじゃ」

手持ちの槍で斬撃を流しつつ、自らが少々非常識なことには気づかずにあさげはサマーウルフに尋ねる。

 

モンスターを討伐するのが普通なはずの冒険者に見えるのに、そうしようとせず、対話を求めるあさげを少し訝しげに思いながらも彼は話し始める。

サマーウルフ

おまえさん、面白いヤツだな。

てっきりまた、冒険者連中がタコメットを狩りに来たのかと思ったぜ。

今ではすっかりそんな奴らも減っちまったがよ、ヤツラがタコメットを乱獲した時に俺たちの仲間も随分とやられちまったんだ…だからよ、こうして冒険者が訪れると警戒しちまうんだ。

 

で、何が聞きたいって?

 

怪傑ウルフ?

うーん…俺らサマーウルフ族にはそんな通り名を名乗っている豪傑がいるなんて聞いたことがねぇなあ…

冒険者のあんたがわからんって言うなら俺らの仲間なのかもしらんけどよ、ここいらでは聞いたことがねえや。

もしかしたら、山とかにいる俺らの同族の一人かもしれんぞ、そっちを当たって見たらどうだ?

 

どうやらあの老人は耳が若干遠いらしく「ウルフ」とだけ聞いてサマーウルフと思い込んだのであろうと、あさげはなんとなく納得した。

それならば次はどこを当たろう。

 

そう悩みながら流れつくのはオーグリード大陸。

 

ザマの勇士と山賊たち

オーグリード大陸と一口に言っても広い。

もしも知恵のある亜人族が怪傑ウルフである場合、人の多い大きな都市の近隣に住んでいるとは考えにくい。

なるべく辺境を探そうと立ち寄ったのはザマ峠。

このグレンとガートランド間の関所は屈強なオーガの戦士が護りに就いていた。

彼らならばこの辺りに詳しそうだ。

そう考えあさげは物を尋ねてみる。

ガートランドの戦士

ほう、怪傑ウルフというヒーローを探しているのか。

私もそのような名は聞いたことがないが、貴方の言うように人狼族の一人がそういった活動をしているのだとすればだ、この辺りには彼らの集落がある。

大抵は害がないが、中には山賊まがいの行為をしている輩もいてな、そういった輩なら旅人を襲おうと近くまでよく出てくるからガートランドを救った貴方のような英雄なら少々痛めつけて聞き出してみてはいかがです?

 

どうやら、この男はあさげのことを知っているらしい。

正しくは、この姿で世界を巡っていた頃のアーネスト・サン・ジェルマンを知っているということだ。

思わぬところで彼女の足取りにぶつかったものじゃなと思いつつ、あさげはこの関所の周囲を散策してみることにした。

実にようさんおるものじゃのう…

高台から見下ろしてあさげは素直にそう呟いた。

どれ、少し聞いてみるとするか。

この辺りで我の姿が知られているなら都合がよい、余計な戦いはせずとも済むじゃろうとの考えもあり、気楽な気持ちで人狼族に近づいていく。

そう、キュララナ海岸でのことは、たまたまこの姿をしていた頃のハカセがタコメットとの交戦を嫌ってあの地域は素通りしていたことが原因なのだ。

「姐さん、ご無沙汰でありんすね。

今日はどんな御用で?」

 

賊をやってる輩から姐さん呼ばわりされるのはあまり気分がいいものではないが、おそらく根はいい連中なのだろう。

そうだからこそ、ヤツも見逃したというわけだろうと納得し怪傑ウルフについて尋ねる。

 

しかしながら、ここでも収穫はなしだった。

そのような仲間は見たことがないと。

ただ、ヒントは得た。

彼らが言うには、いくら以前よりは馴染んできたとはいえ人狼族は魔物とみなされ人々の敵とされてきた長い歴史がある。

故に、今も双方が出会えば敵対することになり、戦う術を持たない女子供や老人達はお互いに避けようとする。

それなのに、あえて人間達の味方をし、それを助けるような奴は人狼の仲間と共には生活してないだろうと。

 

なるほど納得のいく理屈。

さらにこうも言える、もしも人狼族であるという前提が間違いでなかったら普段は人の目につくところには現れないし人の多いところには住んでいないはず。

だから存在があまり知られていないのではないか、そして人里離れたところにポツンと住んでいてこっそりと人助けをしている…

なかなかに奥ゆかしい人物であると同時に、おそらくは幼少の頃にでも人間に多大な恩を受けたのかもしれない。

 

「ふむ、そのような話を聞いてみるにはあそこしかなかろうな。」

 

あさげは次に訪れる場所を決めたようであった。

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【ハカセ】

オンラインは控えめに数多くの世界を渡りあるくファンタジー好き。

 器用貧乏な職を好み、フレンドからは戦っているのを見たことがないと言われるほどバトルコンテンツには参加していないらしい。

近頃はPSO2Ship8に復帰中。

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